筆者:別府厚生
  1938年東京生まれ。少年時代と1974年以降、奄美大島在住。
  趣味は写真撮影、ヴィデオ撮影、釣り、囲碁等。













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ヒカンザクラ(カンヒザクラ)

◇奄美には自生のソメイヨシノはない。本土からもちこんだものがあるにはあるが、残念ながらあのように見事な花を咲かせることはない。ソメイヨシノには気候が暖かすぎるのであろう。そのかわり、ヒカンザクラ(緋寒桜)というピンクの濃い花を咲かせる早咲きの桜がある。原産地の中国南部をはじめ、台湾、沖縄、奄美などの諸島が主な分布地である。
 















◇奄美では、花は1月中旬頃気温のやや低い山上の方から咲き始め、次第に里に下りてくる。本茶峠と長雲峠が代表的な桜の名所となっており、休日など大勢の花見客が訪れる。それに劣らず多い訪問客がメジロである。下向きに咲くこの花は蜜が多いらしく、メジロたちは花を覗き込むようにして蜜を吸っている。
















◇なお、花の色は緋色のほかに淡いピンクのもの、時に純白のものなど樹によってヴァリエーションがある。果実(サクランボ)は4月頃成熟するが、甘味に混じってやや酸味と苦味があるので食用にはならないようである。